セコム山陰株式会社は、自治体や民間企業などを対象に提供している情報配信サービスに、ニーズが高まりつつあるSNSとの連携機能を追加導入しました。電子メールのほか、FAX、Webなどの様々なメディアへの情報連携に加え、同じ内容をSNSで発信する機能です。
当初は自社での連携システムを開発したものの、SNSの仕様変更によるメンテナンスの負担の大きさを考慮して運用の継続を断念。他社のCMSを活用したSNS連携を検討し、最低限必要な機能だけの契約が可能なSITEMANAGEの導入を決めました。現在複数の自治体で導入されており、今後もエンドユーザーの拡大を図っていきます。
導入に携わったシステムデザイン部の西村様、同部サービスサポートグループの長谷川様、勝部様に、SITEMANAGEの導入に至った決め手や導入時の様子、その後の運用などについて詳しくお聞きしました。
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目的
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- 情報配信サービスにSNSとの連携機能を導入し、1回の操作で多くのメディアに対して情報を発信したい
- 情報発信に力を入れる自治体のニーズに応えたい
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課題
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- SNSを用いた情報発信に力を入れる自治体が増え、手間なく運用できるSNS投稿機能のニーズが増した
- SNSの仕様は頻繁にアップデートされるため、自社開発では開発要員の確保と運用後のメンテナンスに対応しきれない
- 情報配信サービスにSNS連携機能を付加できるCMSパッケージは、自社には不要な機能を備えた高額なものが多い
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成果
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- お客様が必要としていたSNS連携機能の提供が可能となった
- 防災情報を含むさまざまな情報を、多くの人に必要なタイミングで届けられるようになった
- SNSのバージョン情報や動向を確認したり、コミュニティで情報収集をする必要がないため、自社運用担当者の負担がほぼなく、スムーズな運用ができている
目次
CMSを活用し、情報配信サービスにSNS連携機能を導入したい
―最初に、セコム山陰の事業内容をご紹介ください。
西村様:警備会社として広く知られるセコム株式会社のグループ会社です。1995年には情報サービスのニーズの高まりを予測し、情報サービス部門を立ち上げました。現在は、セコムの警備サービスを提供する国内8社のグループ会社で唯一、データセンターサービスを始めとするITサービスを提供しています。
西村 元宏様 セコム山陰株式会社 システムデザイン部 部長
―今回どのような背景から情報配信サービスにSNS連携機能を導入されましたか。
長谷川様:弊社はITサービスの一つとして情報配信サービスを提供しています。あらかじめ登録されたメールアドレスに、メールを大量に高速配信することが可能なシステムで、主に自治体の防災情報などの発信に活用されています。
弊社のITサービスの顧客には自治体や企業が多く、特に情報配信サービスのクライアントは自治体が多いです。近年では防災情報などの即時性を上げるため、メール配信と同時に、SNSに同じ内容を投稿する自治体が増えてきました。
同じ内容の投稿はもちろん手動で可能ですが、手動だと投稿漏れなどのミスが発生する可能性があります。それを受け、2020年頃には部内で「同時投稿の機能が必要なのではないか」という意見が上がっていました。
当初は社内でSNS連携機能を開発していたのですが、SNSは仕様変更が頻繁にありますよね。実際に開発の途中で仕様が変わりましたし、都度開発コストがかかることを考えて継続を断念。CMSにSNS連携機能があることを知り、導入を見据えて情報を集め始めました。
担当者のレスポンスが早く、ニーズに合った機能設定が可能なSITEMANAGEを選択
―SNS連携機能を持つCMSの中でSITEMANAGEに決められた理由は何だったのでしょうか。
長谷川 真様 セコム山陰株式会社 システムデザイン部 サービスサポートグループ 課長
長谷川様:担当者のレスポンスの早さとニーズに合った機能ですね。実は7社に問い合わせをして、内容や費用を比較しました。その中で特にレスポンスが早く、対応が良かったのがシフト社です。一番に返信をいただきました。
CMSは多くの場合Webサイトの制作に使われますが、弊社では本当にSNS連携機能だけが導入したかったので、実はCMSを使っているという認識があまりありません。
もちろん7社ともSNS連携機能を持っているところでしたが、他社のCMSはWebサイト制作機能を含む数百万円単位のパッケージで販売されていて、SNS連携機能はオプションという位置づけです。
一方SITEMANAGEは、使いたいプラグインだけを選んで組み合わせることができます。弊社の使い方では使用するプラグインが少ないので、結果的に費用が安くなりました。ニーズに合っていたうえに、本当にこちらの考えややりたいことを理解した提案をしていただけました。
重森:セコム山陰様からのお問い合わせを見てすぐに、「今まで提案したことがないシステム案件で、挑戦したい!担当したい!」と思い、担当者を決める安野に直談判に行きました。
弊社への問い合わせは、やはりサイト制作のご相談が中心です。私自身の経験が浅いことから正直、当初はご希望の使い方ができるのかわからず、社内の開発担当者に聞きながらどうしたら実現ができるか提案を練りました。その過程で、このように一部のプラグイン(機能)だけに重点を置いた使い方がご提供できることを認識しました。
7社コンペということで少し不安はありましたが、SITEMANAGEなら必要なプラグインだけでシステム構築ができるため、不要な機能に対する費用が発生せず、セコム山陰様のニーズにぴったりだと思いました。しかもエンドユーザーの数は制限なく利用できます。
重森 侑 シフトWebディレクター
勝部様:他社では1エンドユーザーにつき1契約というパッケージもいくつかありました。それだとクライアントのイニシャルコストがすごく高くなってしまいますよね。
安野:SITEMANAGEではユーザーの数に制限がないので、何百ものWebサイト制作に活用されているお客様もいらっしゃいます。また、あまり知られていませんが、ステップメールや見積もりシステムだけなど、ニッチな機能のプラグインをメインで使用されるお客様も多いですね。
―開発のキックオフからローンチまでは、どのような流れでしたか。
長谷川様:弊社はSNS連携機能のみの導入だったので、導入自体はまったく手間がかかりませんでした。ただ、既存のプラグイン(FacebookやX:旧Twitterとの連携機能)に加え、LINEとの連携機能の導入を希望しました。
重森:打ち合わせの回数もキックオフミーティング、仕様説明、フィードバックを反映した最終レビューの3回程度だったと記憶しています。初回のヒアリングと提案時に細かなご要件までしっかり聞いていたので、大きなブレもなく順調に進行できたと思います。長谷川様のレスポンスが本当に早くて、とてもスムーズに進みました。細かなご要望はプロジェクト管理ツールであるRedmineで送っていただき、都度改善していきました。
勝部様:私も2回ほどお問い合わせしたくらいだと思います。使わない項目を外してもらうなど、細かく調整してもらえました。
―導入した機能の詳細を教えてください。
長谷川様:あらかじめ登録されたメールアドレスに一斉メール配信をすると同時に、SNS(Facebook、X、LINE)に同じ内容が投稿されます。クライアント側でメディアごとの配信操作は必要ありません。
弊社の情報配信サービス自体が、もともと防災情報の発信を目的としてスタートしたサービスです。具体的には、「県道が通行止めです」「警報、注意報が出ています」といった内容ですね。基本的に文字情報だけなので、画像が必須となるInstagramは連携していません。
勝部 直美様 セコム山陰株式会社 システムデザイン部 サービスサポートグループ 主任
勝部様:当初は防災情報のためのサービスでしたが、自治体での使い方も徐々に広がってきました。たとえば、現在では消防情報も配信しています。
近くでサイレンが鳴ってその原因が分からないと、気になって消防に問い合わせの電話を入れる人がいて。それが夜間だと職員も少なく、電話を取るだけでも大変なので、どこで火事があった、事故が起きたといった消防局の情報を配信します。知ってもらうだけで電話が減って職員の方の負担が抑えられるようです。
信頼に応え、必要な情報をリアルタイムで確実に届けられるシステムを整備
―カスタマイズや開発の要件にはどのようなものがありましたか。
長谷川様:弊社からの主な要望は、LINE連携機能の追加でした。LINEを情報配信に活用する自治体が近年増えているためです。またもう一つ要望したのが、配信機能を使用した際に管理者に通知される機能です。
自治体の防災情報は、確実に配信されて当たり前の世界です。仕様通りに機能しても褒められるようなことはなく、届かないことがあれば新聞やニュースに取り上げられかねません。
また弊社は警備会社という特性から社名に対して厚い信頼をいただいており、私たちはそれに応えなければいけません。そのため、確実に配信が完了したことを確認する機能を要望しました。
安野 雅己 シフト代表取締役
安野:配信がきちんとできているか確認したいというご要望があったので、標準機能にプラスして通知機能を開発しました。メール配信の通知とSNS投稿完了の通知が別々に届きます。
勝部様:たまにそれぞれのメールを照らし合わせるくらいで、普段はそれほど気にかけることはないのですが、新規のクライアントに対しては注意して確認します。通知機能のおかげで都度SNSを開く必要がないので、とても楽ですね。
あとはテストをする際に、通常の使い方だけでなく、あえてあまりしないような使い方も試しました。例えば通常50文字くらいしか送信しないシステムで、1万文字くらい送ったらどうなるかといった試験です。
重森:いただいた内容については弊社側でも再現確認したうえで、仕様調整が必要な場合はお客様とご相談します。ただのバグであればすぐに社内で修正してご報告し、再度テストしていただきました。
―シフトは新規の取引先ということで、審査もありましたか。
西村様:はい、弊社はプライバシーマークおよび情報セキュリティマネジメントシステムの認証を取得しています。さらに事業継続に関する取り組みを積極的に行っている証としてレジリエンス認証も受けており、他社のサービスを利用する場合はあらゆる側面から審査をしなければなりません。
会社幹部にきちんと説明して稟議を通し、監査部門がヒアリングや会社の情報調査をして、ようやく取引が開始できました。
安野:そうですね。セキュリティ対策のヒアリングシートなど、さまざまな書類を提出しました。大手の企業ではそうした厳しいチェック体制を敷いておられるところが多いですね。
重森:私はこのような厳しい審査は、今回初めての経験でした。どれだけシステムを気に入っていただいていても審査に通らないと受注できなくなってしまうので、通ったことが分かるまでは不安でしたね。
ニーズに応えることで今後のクライアント増加にも期待
―ローンチ後、実際に運用してみていかがですか。
長谷川様:SNS連携サービスは、主に私と勝部で運用管理しているのですが、UIがしっかりしているので、マニュアルを見なくても画面を見れば直感的に操作方法が理解できます。
自治体への導入前に、1回だけ自社の試験用アカウントで配信してみました。普段の運用には一切手間がかからず、これまでなんの問題もなくスムーズに配信できています。
重森:リリース後はセキュリティの都合上、本番環境が弊社内で確認できない仕組みになっているので、実際にどこのアカウントでどう運用されているのか気になっていました。ただ、お問い合わせがないのでうまく運用されているんだなと。
この案件に関わって以来、大雪や災害のニュースを見ると、今もどこかで私たちのご提供したシステムが使われていて、誰かの役に立っているのかもしれないと思うようになりました。
―運用するにあたって、シフトのサポートはいかがですか。
長谷川様:シフト社とは保守契約をしており、相談すればすぐに応えてくれます。TwitterがXになる前、Xの開発者プラットフォームであるDeveloper Portalで仕様が変更されるという大幅なアップデートが入った際には、迅速にサポートしていただきました。
重森:SITEMANAGEの保守契約は任意なのですが、保守契約をお申し込みいただいているお客様に対しては、何かあったらすぐに対応できる体制を整えておかなければなりません。セコム山陰様では基本保守プランに加えて、SNSのAPI仕様変更時の対応も行っており、社内でプロジェクトメンバーをアサインしています。
Xの企業アカウントはエンドユーザーが英語で設定をしなければならず、思いのほか難しいので、そこが課題の一つですね。フォームも頻繁に変わりますし、申請に1年以上待っているところもあって、自治体の担当者が異動になるとまた情報が分からなくなります。
勝部様:SNSの投稿連携サービスには、無料で提供されているものもあります。メールで送った内容をSNSに投稿するサービスです。
そうした無料のシステムには、基本的にサポートが一切ありません。アップデートに対応できなかったり採算面で維持できなくなったりすると、数年使っていたサービスの提供がいきなり終了することもあるようです。
今回のアップデートでサービスを終了したシステムもあり、私のところにも他社の連携サービスを利用していたお客様から「連携サービスが使えなくなった」という問い合わせが何件かありました。そうしたお客様には「弊社ならこういうサービスがご提供可能です」というご提案もしています。
―今後、SITEMANAGEを活用して実現したいことはありますか。
勝部様:最近では防災情報にとどまらず、イベント情報や子育て情報を配信する自治体も増えてきました。そのような情報はチラシや写真などの画像データを同時配信すると効果的なので、時代に合わせて改善していかないといけないのかなとも考えています。
同時に、セグメント配信のニーズの高まりも感じています。登録者を居住地や属性、興味・関心などで絞り込み、ユーザーに合った内容の情報を配信する機能です。開発費用との兼ね合いで、導入を検討している段階です。
まだSNS連携サービス自体を導入いただいているお客様がそれほど多くないので、まずはそちらを増やすことに注力しないといけません。弊社のデータセンターやサーバーなどのIT系インフラサービスをご利用いただいている自治体にご提案していく予定です。
―最後に、SITEMANAGEの導入を検討している方にメッセージをいただけますか。
長谷川様:SITEMANAGEは既存のCMSに対するイメージを覆すほど、カスタマイズ性に富んだシステムです。特に弊社のように何か一つのことをやりたくてCMSの導入を検討している企業には、重宝されるのではないかと思います。
既存のプラグインではできなくても、やりたいことを実現するための開発もお願いできるので、まずは「こういうことがしたいんだけど」と相談してみることをおすすめします。
担当者からのコメント
セコム山陰株式会社様のSNS自動投稿システムを構築させていただきました。
SITEMANAGEを導入いただいたことにより開発・運用工数の軽減につながったとお伺いし、大変嬉しく思います長谷川様をはじめとしてプロジェクトに参加していただいた皆様には感謝をしております。
UI/UX・CMS・マーケティングでお困りの方はぜひ、お問合せいただければと思います。セコム山陰様のご発展とともに、今後もシステムの機能拡張に引き続き尽力させていただきます。
シフトでは、Webサイトの構築だけでなく、システムの開発も可能です。何かお困りごとがございましたらお気軽にご相談ください!
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この事例を担当した人
営業
重森 侑
前職では製薬業界で安全性情報管理職に約5年間従事。その後、シフトでは営業・ディレクターとして活動。BtoB、BtoC、サイト種別問わず幅広く担当。