イントラネットとは?成功事例に学ぶ構築で失敗しないための知識

イントラネット

はじめに

社内の情報を集約し、コミュニケーションもできるイントラネット。近年では有用性が評価されており、自社でのイントラネット構築を考える企業も多いです。しかし、イントラネットは導入しただけでは効果を発揮しません。イントラネット構築を成功させるには、導入後もやるべきことがあります。本記事では、イントラネットの基礎知識と、構築を成功させるための方法を、事例をもとにご紹介します。

イントラネット中でも最近では社内のさまざまな情報を集約させた「社内ポータルサイト」を構築するケースが多くなっています。従業員の80%以上が毎日訪れるようになった社内ポータルサイトの成功の秘訣をまとめた事例資料がございますので、気になる方はぜひご覧ください。
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イントラネットとは

イントラネットとは

イントラネットとは、内部の人間だけが利用できるネットワークです。語源は「内部」という意味の「intra」と、ネットワークの「net」を繋げたもので、主に企業や組織で利用されています。一般的なウェブブラウザを利用しての閲覧が可能ですが、ネットワーク自体は外部と遮断されているため、社外秘の資料を保存したり、内部向けの情報を素早く共有したりするのに適しています。

イントラネットが必要とされる背景

イントラネットが必要とされる背景には「独自LAN構築の難しさ」があります。

ネットワークを利用した業務が一般的になった昨今では、独自のLANを構築して社内ネットワークを形成する企業もあります。しかし独自LANを構築するには、費用や時間など多くの課題をクリアしなければなりません。

独立行政法人中小企業基盤整備機構によると、日本企業の99.7%は中小企業です。資金力やマンパワーに乏しい中小企業が独自LANを構築するのは、かなり難しいでしょう。

イントラネットであれば、独自LANの構築ほどコストはかかりません。加えて、インターネットと同じ感覚で利用できるため、専門知識を有する社員を確保する必要もなく、社員も短期間で使用方法を覚えられます。

社内イントラとの違い

イントラネットから派生した言葉に「社内イントラ」があります。社内イントラとは「社内」で利用するイントラネットのことです。利用する人間が社内に限られていますが、イントラネットそのものが企業や組織で利用されることが大半なので、基本的にはイントラネットとほぼ同義と言って良いでしょう。

イントラネットの仕組み

イントラネットは、さまざまなネットワークで利用されている「TCP/IP」というプロトコルがベースとなっています。TCP/IPは世界標準として利用されているプロトコルで「インターネット・プロトコル・スイート」とも呼ばれます。

TCP/IP は4層構造をしており、それぞれに役割があります。その役割を4層すべてでクリアすることによってネットワークでの通信ができる仕組みです。ここにHTTPによるWWWシステム(※1)や、POP・SMTPによる電子メールシステム(※2)が加わって、通常のインターネットと同様の利用ができます。

(※1)HTTPはWWW上でユーザーとサーバーを繋ぐプロトコル。WWWは、現在最も一般的に利用されているインターネットアプリの仕組み。HTTPを利用してWWWサーバーから情報を得ることで、ページの閲覧ができる。

(※2)メールの送受信を行うプロトコル。POPは受信、SMTPは送信を行う。

イントラネットの特徴

イントラネットの最大の特徴は、導入のハードルが低いことです。既存のインターネットと同様のプロトコルを用いているため、独自LANやWANを構築するよりも安価で構築でき、構築にかかる期間も短めです。また通常のインターネットと同じ操作方法のため、社員が利用しやすく、教育にも時間がかかりません。

加えて、アプリやデータベースとの連携も可能で、柔軟な開発できることも特徴です。

イントラネットはもう死語?進化を遂げる現代の形態

近年では「イントラネット」という言葉はあまり使われなくなっています。なぜなら、イントラネットの目的や用途が時代と共に少しずつ変化・多様化したことで、呼び方が変わっているためです。

以前のイントラネットは、基本的にデータの保管場所でした。しかし時代が進むと、コミュニケーションツールとしての側面も現れ、さらに最近は「オンライン上の仕事場」のような用途も生まれています。その中で「社内ポータル」「グループウェア」「社内wiki」「社内SNS・チャット」と、用途別の呼称が付けられました。

イントラネットの機能自体は変わっておらず、死語というよりは「さまざまな用途が生まれたことから、用途別の名前が付いた」という方が適切かもしれません。

イントラネットの主な用途

イントラネットの主な用途

先述したように、現在のイントラネットは用途が多様化しており、さまざまな用途があります。ここからは先述したイントラネットの4つの用途についてご紹介します。

社内ポータル

社内ポータルとは、社員が必要とする情報やツールにアクセスするための入口となるサイトです。最新情報やお知らせ、業務マニュアルやツールへのリンクなどが記載されます。Yahooやgooなど、代表的なポータルサイトの社内版をイメージすると分かりやすいです。

社内ポータルを構築することで、社内情報などをスピーディ、かつリアルタイムで社員に届けられます。情報共有が容易になることで、電話・メールでのやり取りや社内問い合わせの減少が期待でき、業務も効率的になるでしょう。

社内ポータルについては別の記事で詳しく紹介しています。
社員が使いたい社内ポータルサイトとは?事例で学ぶ成功の秘訣

グループウェア

グループウェアは情報共有を行うためのツールです。カレンダーを利用したスケジュール管理や進捗状況の確認、データの共有、掲示板やメールなどの機能が備わっています。

グループウェアは情報共有などのコミュニケーションを円滑にする力があるため、チームでの仕事効率のアップが期待できます。

社内wiki

社内wikiは、社員なら誰でも編集可能な情報プラットフォームです。文書作成やコメント、検索などが行える、いわば「社内版Wikipedia」です。

基本的には就業規則や業務マニュアル、社内手続きの方法など、仕事上必要な情報が共有されます。情報を持っている社員が常時蓄積・共有していくことで、属人化を防ぐだけでなく、新入社員の教育にも役立ちます。

社内SNS・チャット

社内SNSやチャットは、社員同士がコミュニケーションをとるためのツールです。グループウェアもコミュニケーション機能が備わっていますが、社内SNSやチャットは、よりコミュニケーションを重視したツールになっています。データのやり取りも可能です。

社内SNSやチャットは、メールよりも気軽にコミュニケーションがとれるため、社員間のコミュニケーションが活発になります。また履歴を追うことで、新しくプロジェクトに参加した社員も、仕事の内容や現状を理解しやすくなるでしょう。

イントラネットと類似キーワードの違い

イントラネットと類似キーワードの違い

イントラネットと類似した言葉に「インターネット」と「エクストラネット」があります。これらはネットワークであることはイントラネットと共通していますが、アクセス権などに違いがあります。ここではイントラネットとこれらの違いをご紹介します。

インターネットとの違い

インターネットとイントラネットの違いは「ネットワークの解放範囲」です。先述したとおり、イントラネットは企業や組織内のみで利用できる閉じられたネットワークを言います。

一方、インターネットは世界中に開かれたオープンなネットワークです。インターネットの「inter」には「相互に接続された」という意味があり、世界中のネットワークを繋げています。具体的には、自宅や企業で構築されているネットワーク同士を、ルーターやプロバイダを利用して外側のネットワークと接続する仕組みになっています。

エクストラネットとの違い

エクストラネットも、イントラネットとはネットワークの解放範囲が違います。ただ、エクストラネットは全てにオープンにされたインターネットとは違い、イントラネット同士を限られた範囲で繋ぐ仕組みです。

例えば、本社のイントラネットを遠方にある支店のイントラネットと接続するネットワークは、エクストラネットと呼ばれます。基本的には関連会社やグループ企業などを、現地だけでなく離れた場所でも繋げられる閉じたネットワークです。

イントラネットを構築する5つのメリット

イントラネットを構築する5つのメリット

イントラネットの構築には、業務を行う上で多くのメリットがあります。ここではイントラネットを構築するメリットを5つご紹介します。

1.リアルタイムな情報共有

イントラネットを構築すると、リアルタイムで情報共有ができます。従来の情報共有は、紙やメールを利用して社員全員に通達し、意見等があれば反映させ、また通達などの方法を採る必要がありました。そのため、情報共有にタイムラグが生じます。

イントラネットであれば、リアルタイムで全員が同じ情報を共有できます。情報を提供する側も、記事などを作成してネットワークに上げるだけなので、作業が楽です。

2.業務効率化・生産性向上

業務の効率化や生産性の向上も、イントラネットのメリットのひとつです。情報やデータをイントラネットに集約しておけば、担当者への確認やデータの送付などを行わなくて良いため、業務の効率化につながります。

また、複数部署での同じ業務や担当者の確認作業といった無駄な業務が削減され、生産性も向上します。

3.コミュニケーションの活性化

イントラネットは、コミュニケーションを活性化させる効果も期待できます。日本企業は多くが「縦割り」で作られており、同部署内でのコミュニケーションはあっても、別の部署間ではまったく交流がないという企業も少なくありません。

イントラネットで他部署の仕事内容や目的などを共有することで、連携がスムーズになり、意志決定のスピードもアップします。同時に他部署での業務改善内容などを共有して、自部署に活用することも可能です。

4.コスト削減

イントラネットの構築は、コスト削減にも役立ちます。従来のような紙で社内報などを印刷して配布する方法では、紙やインク代、配布する人員や時間がかる上、社内報などを保存するスペースも必要です。

イントラネットを構築することでこれらが不要となり、保管場所が不要になります。有給休暇や必要な社内手続き、会議室の予約など、イントラネット構築でペーパーレスにできることは多いです。ペーパーレス化によって管理の手間も減り、コストが大幅にカットできるようになります。

組織文化の浸透

イントラネットを構築すれば、組織文化の浸透も可能です。企業の理念や目標を共有するのはもちろん、就業規則や研修の資料などを保管しておけば、必要なときに閲覧できます。

特に社員の多い企業にとって、全員に組織文化を浸透させることは非常に重要で、同時に困難なことでもあります。イントラネットにより組織文化が浸透することで、社員が一丸となって企業のミッションに取り組めるでしょう。

イントラネットを構築する4つのデメリット

イントラネットを構築する4つのデメリット

多くのメリットがあるイントラネットですが、反面デメリットもあります。特にネットワークという性質上、セキュリティや障害は大きな問題になりかねません。これらのデメリットには、必ず対策を設けるなどして対応しましょう。

1.セキュリティの問題

イントラネットは主に企業や組織内のみで利用されるネットワークですが、外部からの侵入が皆無なわけではありません。悪意のある第三者に侵入されて情報を盗まれないためにも、セキュリティ対策は万全にしておく必要があります。

また、社内の人間による内部不正にも注意しなければなりません。独立行政法人情報処理推進機構が毎年発表している「情報セキュリティ10大脅威」によると、2024年の組織編には「内部不正による情報漏えい等の被害」が3位にランクインしています。情報を一元管理するイントラネットには社内の重要な情報やプライバシーも集約されるため、ゼロトラストの意識でセキュリティ対策を行いましょう。

2.障害発生のリスク

イントラネットには、障害発生のリスクもあります。データや情報が集約されたイントラネットに障害が起これば、その分業務が滞り、本来得られるはずだった利益が得られなくなる可能性があります。

こうした事態に対応するために、イントラネット構築の際には、障害が発生した場合の対応もマニュアル化しておきましょう。技術的に自社での対応が難しい場合には、信頼できるベンダーに万一のときの対応を依頼しておくのも方法のひとつです。障害時の対応を事前にしておくことによって、素早い復旧が可能でしょう。

3.コストとリソースの問題

イントラネット構築には、コストとリソースがかかります。サーバー代や構築費用など、導入時に多額の資金がかかるほか、保守管理のためのメンテナンス費用も継続的に必要となります。無料で構築できるツールもありますが、機能や利用できるストレージが限定されているため、将来的には有料に移行するケースが多いようです。

また構築後の運用でも、障害対応や更新などに専門的な知識が必須となります。リソースがないと構築も運用も難しいでしょう。

4.技術的な問題

イントラネットの構築では、技術的な問題もあります。特に問題となるのが「互換性」です。他のシステムやデバイス、また既存の機能やデータなどとの互換性がないと、ネットワークや機能が正常に働かない可能性があります。

そのため、互換性のチェックとそれができる人員が必要になります。

イントラネットを構築する6つの手順

イントラネットを構築する6つの手順

イントラネットを構築する際には、主に6つの手順があります。いずれもイントラネット活用のために非常に大切な内容なので、きちんと順序だてて構築を行いましょう。ここからはイントラネットを構築する手順についてご紹介します。

1.目的の明確化

まずは目的を明確にしましょう。社内の現状と問題点を把握し、解決すべき課題を挙げ、それらをイントラネットでどのように解決するかを考えることが大切です。

目的が定まっていないと、導入すべきツールが選べませんし、社員にもイントラネットを構築する意図が伝わりません。結果、コストをかけただけで結果が得られない状態になってしまいます。

ゴールが明確になっていることで、適切なツールを選べる上、社員の理解も得やすくなります。

2.要件整理

次に要件を整理します。実際に各部署の仕事の流れなどを想定したり、社員に質問したりして、目的を達成するために必要な機能を検討しましょう。

業務上必要な機能も大切ですが、セキュリティ面でも充実した機能があると安心できます。外部からの侵入を検知・ブロックできる機能を備えておきましょう。同時に内部不正への対応も必要です。データへのアクセス権を制限したり、閲覧履歴が残るようにしたりして、不正をしにくい環境を作りましょう。

イントラネットの構築・リプレイスにおいてどのような要件や機能が必要かを整理することはこの後の手順を進めるにあたって非常に重要な要素となります。自社内だけで要件や機能を整理しても、すべて洗い出せないこともありますので、そのような場合はその道のプロに相談してみるのも一つの手です。

シフトでは経験豊富なWebディレクターによる要件整理の無料相談を承っておりますので、イントラネット構築やリプレイスをご検討中の方はお気軽にご相談ください。
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3.ツール選定

要件を整理したら、ツールを選定します。機能やセキュリティはもちろん、コストやストレージにも注目しましょう。複数のツールを選定して、その中から最適なものを選ぶことがベストです。

現在は無料トライアルの期間を設けているツールも多いので、実際に利用して使い勝手を比べてみるのも良いでしょう。

4.構築と運用体制の検討

ツールが決まったら、利用して構築を行います。同時に行っておきたいのが、運用体制の検討です。

イントラネットはあくまで手段であり、導入がゴールではありません。導入後の効果を測定し、改善していくことで目的達成につなげます。そのために、運用メンバーの選定や役割の決定、効果測定と改善のスケジュールなどを事前に検討しておきましょう。

また不具合が起こったときに備え、専門知識を持ったスタッフを雇用したり、ベンダーなどの専門家に協力を仰いだりしておくと、いざというときに役立ちます。

5.社内への定着化

構築をしたら、社内に定着するように努めましょう。イントラネットを導入したことはもちろん、マニュアルの用意や研修会の開催、サポート窓口を設けるなどして、使い方も広く周知することが大切です。

理想は「最低限の機能を社員全員が利用できること」です。効果的な使い方などを指導して、イントラネットが便利であることを周知するのも良いでしょう。

6.導入後のPDCA

社内での利用が開始されたら、定期的にPDCAを回していきます。目的を達成するためには、この手順が非常に重要です。イントラネットの効果や運用体制などを見直し、より良くする方法を考えて実行することを繰り返していきましょう。

時代が変われば市場の状況が変わり、市場の状況が変わればイントラネットの利用方法も変わります。常に状況に合わせた使い方をするためにも、PDCAを継続し続けることが大切です。

イントラネット運用の成功のカギは「社内への定着化」

イントラネット運用の成功のカギは「社内への定着化」

イントラネットは「社内への定着化」が成功のカギを握っています。導入したとしても、一部の社員しか利用できない状態では、イントラネットのパフォーマンスが十分に発揮されません。

社員に利用されるイントラネットを構築するには「毎日イントラネットを利用するための工夫をすること」が大切です。例えば、毎日行う勤怠入力や機会の多い経費の計算などをイントラネットで行うようにすることで、社員はイントラネットを見る習慣が付いていきます。

同時に、誰でも簡単に操作ができることや、画像やイラストが使われた見やすい記事の作成なども、社内定着化の一助となります。

社内への定着化を成功させたセガサミーホールディングス様の成功事例を特集した記事がございます。
グループ共通の社内ポータルサイト構築で従業員が毎日訪れる必要不可欠なサイトに

こちらの事例の他のも一般公開できない社内イントラの構築実績が多数ございます。「こんな社内イントラを構築できないかな?」とご検討中の方は、お気軽にご相談ください。
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まとめ

イントラネットは業務の効率化やコミュニケーション活性化において、大きな役割を果たしてくれます。構築を成功させるには、イントラネットを手段と捉え、社内に定着する方法やより良い運用方法を常に考えていくことが大切です。実際の事例を参考にして、自社でのイントラネット構築にお役立てください。

ご相談をお待ちしております。お気軽にご相談ください。

お電話でのご相談窓口

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(受付時間:平日 9:30-18:00)

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