ホームページ作成で申請できる補助金はこれ!概要や活用時の注意点もご紹介
企業のコーポレートサイトやECサイトなど、ホームページの作成には多額の費用がかかります。コストを少しでも抑えるため、補助金や助成金の利用を考える方もいるでしょう。ホームページ作成に利用できる補助金・助成金は多くありますが、利用の要件が決まっていたり、審査があったりとハードルは高めです。
ただ内容を理解し、適切な申請を行うことで、利用できる可能性は高まります。本記事では、ホームページに利用できる補助金の概要や申請時の注意点などを、補助金審査業務の経験がある2級ファイナンシャルプランニング技能士の橋本華加様に監修いただき、まとめました。
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目次
補助金と助成金の活用について
事業拡大や労働環境の改善などを考えている場合、補助金や助成金を活用することで、よりスムーズに施策を実施できます。まずは補助金と助成金、その違いについて理解しましょう。
補助金とは?
補助金とは、国や地方自治体が政策を推進するために支給するお金です。特に経済産業省が実施する補助金が多く、経済活動の活性化を目的とした事業拡大や研究、設備投資などに利用できます。支給額も数百万円から、規模によっては億単位の金額が支給されることもあります。代表的な補助金は「IT導入補助金」や「ものづくり補助金」などです。
補助金を受け取るには、公募期間中に所定の書類を作成して申請を行い、採択される必要があります。公募期間は1ヶ月程度であることが多く、採択される件数や金額には上限が定められています。
助成金とは?
助成金は補助金同様、国や地方自治体の政策を推進するために支給されるお金です。厚生労働省が管轄しており、主に労働環境の改善や人材育成などを目指す事業者への支援を目的としています。支給額は数十万円から100万円程度で、代表的なものは「トライアル雇用助成金」「キャリアアップ助成金」「両立支援等助成金」などです。
公募期間に制限はなく、基本的に通年公募を行っています。採択上限などは設定されていませんが、雇用保険料を主な財源としており、予算がなくなった場合には年度内に公募を終了することもあります。
補助金と助成金の違い
補助金と助成金は、国や地方自治体が支給する点は同じですが、管轄や目的、支給額などさまざまな点で異なっています。どちらにしろ、申請前に要件をよく理解して、自社が利用できるものを選択することが大切です。
補助金 | 助成金 | |
管轄 | 経済産業省 | 厚生労働省 |
目的 | 事業拡大、起業促進、設備投資など | 人材育成、労働環境改善など |
主な財源 | 税金 | 雇用保険料 |
支給額 | 数百万円~数億円程度 | 数十万円~100万円程度 |
次からは、ホームページの作成や強化に利用できる補助金・助成金をご紹介します。
企業のデジタル化を後押しする「IT導入補助金」
「IT導入補助金」は、中小企業や小規模事業者のデジタル化をサポートする補助金です。ITツールを導入して、業務の効率化を行う企業を支援します。申請する企業は補助金事務局に登録されたIT導入支援事業者と協力して、利用するITツールを決定し、申請を行います。補助の対象となるITツールは、事前に事務局が審査をして認可されたもののみです。
2024年のIT導入補助金には5つの枠があり、それぞれ補助の対象や補助率、支給額などが違います。基本的にはITツールの導入に対して支給されますが、枠によってはパソコンやタブレットなど、ハードウェアの購入でも利用可能です。ツール導入の相談費用やクラウドを利用した場合の月額利用料も対象です。
ただ、IT導入補助金を利用して、新規でホームページやECサイトの作成を行うことはできません。ただし、既存のホームページやECサイトにITツールを導入する場合は対象となります。もし新規でのホームページ作成を考えているのなら、別の補助金を検討しましょう。
補助対象者
IT導入補助金の対象者は、中小企業や小規模事業者です。中小企業に当てはまるかは、業種と資本金、従業員数で決まります。例えば、製造業、建設業、運輸業では、資本金が3億円以下、従業員数が常勤300人以下であれば、補助対象者となります。
小規模事業者は資本金に関係なく、業種と常勤の従業員数で定義されています。例えば、商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)の場合、常勤の従業員数が5人以下であれば補助の対象です。
その他、補助対象者についての詳細は下記から確認できます。
補助対象のツール
IT導入補助金2024では、以下の5つの枠があり、補助対象となるツールがすでに決められています。
ます。
- 通常枠:各企業の課題を解決するためのITツールの導入
- インボイス枠(インボイス対応類型):インボイスに対応したソフト、対応のためのハードウェアの導入
- インボイス枠(電子取引類型):インボイス対象ソフトを導入し、取引先に無償で利用させる場合の費用
- セキュリティ対策推進枠:サイバー攻撃などのセキュリティリスクに備えるツールの導入
- 複数社連携IT導入枠:特定の繋がりのある企業が連携して導入するITツールの費用
詳細は、下記をご覧ください。
申請者はIT導入支援事業者と相談して、自社の課題を解決するツールや、申請すべき枠を適切に選択しましょう。なお、IT導入支援事業者や、補助対象となるツールは、IT導入補助金2024のサイトで確認可能です。
参照サイト:ITツール・IT導入支援事業者検索(コンソーシアム含む) | IT導入補助金2024
新規のホームページ作成が可能「小規模事業者持続化補助金」
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の生産性向上と持続的発展を目的とした補助金です。申請者が経営見直しに向けた経営計画を立て、その実行にかかる費用の補助を受ける形になっています。新規のホームページ作成費用も、経営計画に必要であれば申請可能です。
小規模事業者持続化補助金には、以下の5つの枠があります。
- 通常枠:事業者が作成した経営計画に基づく取組にかかる費用の一部を補助
- 賃金引上げ枠:販路を開拓し、従業員給与の上昇を目指す事業者への補助(最低賃金+50円以上)
- 卒業枠:販路を開拓し、小規模事業者として定義する従業員数を超える事業拡大を目指す取り組みを補助
- 後継者支援枠:事業承継を予定しており、後継者候補として事業を軌道に乗せる取り組みを補助(アトツギ甲子園のファイナリスト及び準ファイナリストであることが条件)
- 創業枠:特定創業支援等事業の支援を受けて創業した小規模事業者の販路開拓を補助
補助率はいずれも3分の2(賃金引上げ枠の赤字事業者は4分の3)、補助額は通常枠が50万円、それ以外の枠は200万円が上限となっています。
申請を行う場合は、管轄の商工会・商工会議所から事業支援計画書を事務局へ送付します。審査を行い、対象となれば実績報告の手続き後に補助金が支給されます。
公募は年度内に3回ほどあります。申請受付の締切から採択結果の発表までは、2ヶ月~3ヶ月ほどかかるため、余裕を持って申請しましょう。
補助対象者
小規模事業者持続化補助金の対象となるのは、日本国内に所在する小規模事業者と一定の要件を満たした特定非営利活動法人です。
小規模事業者の定義はIT導入補助金と同様です。宿泊業・娯楽業除く商業サービス業は、常勤の従業員数が5人以下、宿泊業・娯楽業、製造業やその他の業種は20人以下の場合に対象となります。特定非営利活動法人の場合は、法人税法上の収益事業を行っていること、認定特定非営利活動法人でないことが条件です。
補助対象者の詳しい要件は、下記をご覧ください。
参照サイト:規模事業者持続化補助金【一般型】 持続化補助金とは
補助金の対象費
小規模事業者持続化補助金では、「機械装置等費」や、「新商品開発費」など、計10種の補助対象経費を設定しています。ホームページ作成は「ウェブサイト関連費」として申請が可能です。ただしウェブ関連費のみによる申請はできません。ほかの経費と一緒に申請、かつ申請総額の1/4まで(上限50万円)などの制限があることにも注意しましょう。
この他、補助事業をPRするためのチラシや看板の設置などにかかる「広報費」、補助事業にかかわる資料などを購入した場合の「資料購入費」なども申請できます。
詳しい費用や条件などは公募要領に記載されています。事前に目を通しておきましょう。
コロナによる社会変化の対応を支援「事業再構築補助金」
事業再構築補助金は、新型コロナウイルス感染症による社会変化をサポートする補助金です。コロナウイルスの影響による売上減少や事業転換、業務形態の変化に対応する中小・中堅企業を支援します。ホームページの作成費用も補助対象となる可能性があります。
例えば、コロナ禍によって大きく形態を変えた飲食業界では、テイクアウトを主力にした業務形態へと変化しました。この場合、テイクアウトに切り替えた際にかかった費用が事業再構築補助金の対象となります。他にもヨガ教室がオンラインでの教室運用を始めたり、タクシー会社が宅配サービスを実施したりといった事例があります。
ただし、交付を受けられるのは「交付決定を受けた日付以降に契約(発注)を行い、補助事業実施期間内に支払いを完了したもの」に限ります。交付決定より前に発注したものや、事業実施期間外に支払ったものは対象となりません。
事業再構築補助金には、異なる6つの申請枠があります。それぞれ補助率・補助上限も異なり、例えば中小企業の補助率は2分の1から4分の3。補助上限は1,500万円~5億円です。
申請を行うには、事業計画書を認定経営革新等支援機関に事前に確認してもらう必要があります。また申請は専用の電子システムのみで可能。電子システムを利用するにはGビズIDプライムアカウントが必要なため、早めに取得しておきましょう。
補助対象者
事業再構築補助金の対象となるのは、先述したように中小・中堅企業です。中小企業・中堅企業の定義は、中小企業基本法にて業種ごとの資本金・従業員数の上限が定められており、日本国内に本社を有している必要があります。
また交付対象事業となるには、以下2つの条件を守らなければなりません。
- 事業計画について金融機関等または認定経営革新等支援機関の確認を受けている(金融機関等から資金提供を受ける場合は資金提供元の金融機関等からの確認も必要)
- 付加価値額の向上が見込まれる計画である(申請する枠によって、成長のパーセンテージなどの条件が異なる)
補助金の対象費
先述したように、事業再構築補助金には以下5つの申請枠があります。
- 成長分野進出枠(通常類型):コロナに対応した大きな事業改善に取り組む事業者、構造的な課題に直面している業種・業態の事業者
- 成長分野進出枠(GX進出類型):コロナに対応してグリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題解決を行う事業者
- コロナ回復加速化枠(通常類型):コロナの影響で抱えた債務の借り換えや、事業再生を行っている事業者
- コロナ回復加速化枠(最低賃金型):最低賃金引き上げの影響を受けている事業者
- サプライチェーン強靱化枠:コロナに対応した国内サプライチェーンの強化を行う事業者
このうち「成長分野進出枠」と「サプライチェーン強靭化枠」は、これからポストコロナに向けた事業構築を行う事業者、「コロナ回復加速化枠」は未だコロナの影響を受ける事業者を対象としています。
いずれの枠にも補助率と補助額の条件が定められており、事業終了後の要件も違います。詳しくは下記にてご確認ください。
地方自治体による補助金・助成金
地方自治体が交付する補助金や助成金の中にも、ホームページ制作に活用できるものがあります。これまでご紹介してきた補助金や助成金に比べて、応募までのハードルが低かったり、提出書類がシンプルだったりと、挑戦しやすいものが多いでしょう。自治体によっては、ホームページの作成費用のほか、それにかかるハードウェアの新規購入や更新費用なども対象となる場合があります。
どのような補助金・助成金があるかは、地方自治体のホームページを見たり、自治体に問い合わせたりして内容を確認しましょう。
また中小企業庁の「ミラサポplus」や中小企業基盤整備機構の「J-Net21」では、各自治体が実施する補助金や助成金の検索が可能です。ホームページ作成に利用できる補助金・助成金を探す場合に、活用すると良いでしょう。
参照サイト:ミラサポplus 補助金・助成金 中小企業支援サイト|経済産業省 中小企業庁
参照サイト:支援情報の検索|支援情報ヘッドライン|J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]
補助金活用の4つの注意点
補助金を活用すれば、コストを抑えながらホームページの作成が可能です。ただし、補助金の活用には注意点もあります。場合によっては利用できないケースもあるため、要件などをよく理解することが大切です。ここでは補助金活用の注意点を4つ、ご紹介します。
採択されるとは限らない
補助金は必ず採択されるとは限りません。先述したように、補助金には採択数や公募期間が限定されています。助成金の場合、条件を満たしていればほとんどの場合採択されますが、補助金には厳重な審査があり、条件をクリアした上で、補助金による十分な効果があると判断されなければ採択されません。特に応募件数が多い人気の補助金は、その分採択される可能性が低くなります。「補助金ありき」でホームページの作成を考えるのは危険です。
また、仮に採択されても補助金は支給までに時間がかかります。すぐに入金が欲しい場合も向きません。
リニューアルは対象外となるケースが多い
ホームページのリニューアルには、補助金が利用できないケースが多いです。補助金は事業活動を支援し、売り上げアップや付加価値向上などの経済効果を生む目的で運営されています。そのため、経済への効果が出やすい「新規事業・新規サービス立ち上げ」を補助対象とする補助金は数多くありますが、「既存のホームページのリニューアル」を対象としている補助金の数は少ないのが実情です。
ただし、完全にないとも言いきれません。地方自治体の補助金の中には、あらかじめホームページリニューアルも補助対象とうたうものもあります。また、補助対象外と明記されていない場合は、計画内容によって可否を判断し、ホームページのリニューアルを対象にする可能性があります。
申請書類を不備なく揃える必要がある
補助金を申請する際には、たくさんの書類を揃える必要があります。提出時には、書類に不備がないように注意しましょう。先述したように、補助金は採択される数に限りがあります。制限がある中で採択されるには、審査基準となる書類が非常に重要であり、不備がないことは基本中の基本です。もし書類に不備があれば、審査にすらかけてもらえないこともありえます。書類に不備がないよう、しっかり準備を行いましょう。
要件や必要書類などは、各補助金のホームページに記載されています。要件や必要書類はもちろん、申請のスケジュールもしっかり確認しましょう。
補助金の支給は実績報告後
補助金は計画の実施前に申請を行いますが、実際に補助金が支給されるのは計画を完了し、実績報告をしたあとです。そのため、補助金が支給されるまでは、計画にかかる費用の支払いを、一旦自己資金で賄わなければなりません。中には、申請してから支給されるまで1年以上の時間を要する補助金もあります。
また実績報告をしても、申請額が満額支給されるとは限りません。証憑類の管理ができていない、法令違反があったなどの場合は、支給されない場合もあります。会計検査員の調査が入ることもあるため、法令を遵守し、適切な書類管理をすることが重要です。
企業のホームページ作成費用について
企業のホームページ作成費用は、ホームページの種類と依頼先によって変わります。コーポレートサイトを作成するなら、30~50万円程度。運用に関わる部分も強化するなら50~70万円程度です。ECサイトであれば100~150万円程度が相場とされています。
ホームページの作成には専門知識が必要なため、作成費用は高額になる傾向にあります。自社でホームページを作れるツールなどもありますが、企業として相応しいクオリティや競合他社との差別化を図るのであれば、プロに作成を依頼する方が良いでしょう。
ホームページの作成費用についてはこちらの記事で詳しく説明しています。気になる方はぜひご覧ください。
企業のホームページ作成はCMSがおすすめ
CMSは「Contents Management System」の略で、ホームページに使用するコンテンツを一元管理できるツールです。バックエンドに保管した文章や画像などを、フロントエンドで表示する際に構築する仕組みになっています。
企業がホームページを作成する際は、CMSを利用すると非常に便利です。ここからは、企業がCMSでホームページを作成するメリットや、CMS導入が向いている企業をご紹介します。
CMSでホームページを作成するメリット
CMSは、専門知識がなくてもホームページの作成や更新ができることがメリットです。WYSIWYG(What You See Is What You Get)という表示画面そのままの見た目で編集できる機能が備わっているため、本来ホームページ作成に必要なHTMLやCSSといった特別な言語の習得が必要ありません。
またテンプレートを活用すれば、自動的にサイトのデザインが統一されます。修正もバックエンドのみでフロントエンドに反映されるなど、非常に楽です。このほか、分業化ができる、マルチデバイスに対応しやすい、SEO対策・セキュリティ対策ができるなどのメリットもあります。
CMS導入が向いている企業
CMS導入が向いているのは、自社で更新作業をしたい企業です。
ホームページ作成のノウハウがない場合、基本的にはホームページの作成や更新を制作会社に依頼します。しかし、更新を外注すると当然タイムラグが発生するため、スピード感が大切な情報を発信する場合、外注では間に合わないでしょう。
先述したように、CMSは専門的な知識がなくても直感的に操作ができるツールです。使い方さえ覚えれば、自社内で気軽に更新ができるため、外注にかけていたコストの削減も可能です。リアルタイムで情報を発信する必要がある場合や、外注のコストを抑えたい企業に向いています。
またCMSはアナログから移行するためのツールとしても利用可能です。DXによってデジタル化を考えている場合は試験的に利用してみると良いでしょう。
逆に、小規模でページごとの修正に苦労しない企業や更新頻度の低い企業では、あまりCMSのメリットを実感できません。こうした場合は、従来通りのホームページ作成方法でも十分です。
ホームページ作成やマーケティング支援が必要な企業へ
株式会社シフトでは、独自開発したパッケージCMS「SITEMANAGE」を使ったホームページ作成で、企業が抱える様々な課題を解決してきました。
またホームページの作成だけでなく、集客支援やアクセスデータの解析などマーケティング支援も行っています。気になる方はこちらの資料をご覧ください。
グループ共通の社内サイト構築や、サポート業務の効率化を実現!弊社がホームページ作成に関わった企業様のインタビュー記事はこちらのページからご覧ください。
まとめ
ホームページの作成には「小規模事業者持続化補助金」「事業再構築補助金」「地方自治体の補助金」などが利用可能です。IT導入補助金では新規ホームページの作成は対象外ですが、既存のホームページにITツールを導入する場合には利用できることがあります。
ただこれらの補助金を活用するには、書類の作成や支給の時期などに注意しなければならないため、慎重な準備が必要です。事前に要件や準備するものを確認し、よく理解した上で利用しましょう。
この記事の監修者
橋本華加(はしもとはるか)
ライター&コンサルタント「minorial.work」代表。補助金の審査業務に携わった経験を活かし、相談サービスを展開。個人や家族のお金を守る「ファイナンシャルプランナー」、NPO等の資金調達をマネジメントする「准認定ファンドレイザー」等の資格もあり。ライターとしてはマネー解説記事や取材記事、セールスコピー制作なども手掛ける。