ホームページ制作において欠かせないものが「サーバー」です。サーバーはインターネット上の土地と言われており、ホームページのデータを保管する大切な場所です。重要なものであるからこそ、ホームページの構築はもちろん、リニューアルを機にサーバー移管を考えている場合など、サーバーの選定に迷う人は多いでしょう。サーバーの選択はコストやSEOなどの運用にかかわってくる部分もあり、非常に重要です。本記事ではサーバーの種類や選び方をご紹介します。
「ホームページの作成をどのように進めていけばよいのか」「ホームページ作成の費用感を知りたい」などお悩みの方は、ホームページの進め方や相場、事例などをご紹介している下記記事をご参考ください。
会社ホームページの作成方法や手順、費用などを解説
目次
ホームページの制作に必要なサーバーとは?
サーバーとは、ホームページに使用するデータを保管する場所です。ホームページという家を建てる場所として「インターネット上の土地」と例えられています。
サーバーの語源は「提供する人」という意味を持つ「server」であり、データを保管する以外にも、ユーザーからのリクエストに応じてデータを提供する役割も担っています。ユーザーがURLなどを入力してサーバーに情報を閲覧したい旨を伝えると、サーバーはリクエストに応じた情報をユーザーに返します。
サーバーにはさまざまな種類があり、目的によって利用するサーバーは違います。ホームページの構築に使用されるのはWebサーバーですが、メールの送受信に利用されるメールサーバー、データ共有を行うファイルサーバーなどがあります。このほか、WebサーバーとローカルをつなぐFTPサーバーや、ドメインとIPアドレスを紐づけするDNSサーバーなども広く利用されています。
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サーバーを契約するとできること
サーバー契約をすると、さまざまなことができます。ホームページの公開や運用のほか、メールアドレスの利用、アプリの開発や提供、インストールなども可能です。データを保管しておくストレージとして利用することもできるでしょう。
また、独自ドメインの利用もできます。独自ドメインとは自分で自由な文字列を設定できるドメインで、信頼性や認知度の向上が期待できることから、企業では独自ドメインを取得する場合が多いです。独自ドメインを利用したホームページをサーバー上で公開・運用することで、SEO効果も期待できます。
CMSにおけるサーバーについて詳しく知りたい方は、下記よりご覧ください。
CMSにおけるサーバーの役割や種類とは?最近人気のAWSについても解説
自社サーバーとレンタルサーバーの違い
サーバーを大きく分けると「自社サーバー」と「レンタルサーバー」に分類されます。自社サーバーは、社内に設置された独自のサーバーで、レンタルサーバーはサーバーを所有する専門業者から貸与されるサーバーのことです。ここでは、自社サーバーとレンタルサーバー、それぞれについて詳しくご紹介します。
自社サーバー
自社サーバーとは、自社で購入・設置をするサーバーで、オンプレミスとも呼ばれます。専用のサーバーを社内に置き、運用や管理まですべて自社で行うことが特徴です。自社サーバーのメリットは、カスタマイズ性の高さです。自社独自のサーバーのため自由度が高く、OSやアプリのインストール・設定も自由にできます。社内システムと連携して利便性を高めるといった使い方も可能です。
また、セキュリティの高さも自社サーバーの魅力です。外部ネットワークとは基本的に遮断されているため、保存したデータや顧客の個人情報などを安全に管理できます。現在ではレンタルサーバーが主流になりつつありますが、セキュリティの観点から個人情報は自社サーバーに保管している企業もあるようです。
一方で、自社サーバーの構築には高いコストが必要です。サーバー本体と周辺機器、OSやソフト、ネットワークの設定の費用といった初期費用はもちろん、運用後もメンテナンスやセキュリティ対策費用がかかります。管理運用には専門知識が必須になるため、自社で知識を持った人材を雇用する、もしくは管理運用の外注が必要になります。
また、サーバーを置くための場所も確保しなければなりません。ハウジングサービスを利用する方法もありますが、利用料金がかかります。基本的には財源を確保できる大企業や、専門人材が豊富にいるIT企業に向いています。また独自のシステムを構築したい企業にも適しているでしょう。
レンタルサーバー
レンタルサーバーはホスティングサーバーとも呼ばれ、サーバーを所有する専門業者からサーバーを借りられるサービスです。サーバーはインターネットを介しているため、ユーザーはインターネット上にあるサーバーにアクセスしてホームページ等を閲覧する仕組みです。
レンタルサーバーの利点は、コストが抑えられる点です。自社サーバーと比較すると大幅に費用を抑えることができ、手軽に始められます。メンテナンスやトラブル対応などもサービス提供会社が行ってくれます。セキュリティに関してもサービス提供会社が常に監視をしているため、自社でセキュリティ対策を行うより安全性が高いでしょう。
ただし、自社サーバーと比較すると自由度は低くなります。容量や作成できるアドレス、利用できるサービスにも制限があります。共有サーバーの場合、他の利用者の影響を受けるリスクもあるでしょう。場合によっては専門知識が必要なケースもあります。
レンタルサーバーは、高額なコストを捻出することが難しい中小企業などに向いています。レンタルサーバーには無料と有料がありますが、有料であればビジネスで利用できるレベルのサービスも多いです。レンタルサーバーには、下記4つの種類があります。
共有サーバー
共有サーバーとは、1台のサーバーを複数の利用者で共有するサーバーのことです。一般的にレンタルサーバーというと共有サーバーを指します。
基本設定や管理運用などはサービス提供会社が行ってくれるため、専門知識が不要で、導入コストも安いことがメリットです。CMSのインストール機能や初心者でもわかりやすい管理画面など、初心者に配慮したサービスが提供されていることも特徴です。
一方、OSのカスタムなど高度なカスタマイズはできない、他の利用者の影響を受けやすいなどのデメリットがあります。たとえば、同じサーバーを利用しているユーザーのホームページにアクセスが集中した場合、自社のホームページでも表示速度が遅くなるなどの現象が起こる可能性があります。
専用サーバー
専用サーバーは、自社専用のサーバーを1台レンタルして利用します。独立したサーバーのため、他の利用者の影響を受けにくく、安定した運用ができることが特徴です。サーバーに負荷がかかりやすい大きいデータなども難なく稼働できるため、大規模なホームページでも運用しやすいでしょう。
加えて自由度が高く、高度なカスタマイズも可能で、共有サーバーでは制限されるCMSやツールを使うこともできます。独立していることから、セキュリティ面でも強いです。
一方、初期費用などのコストは高めで、利用するには専門知識が必要です。管理運用も自社で行うことが基本ですが、メンテナンスなどを任せられる「マネージド専用サーバー」というサービスもあります。
マネージド専用サーバーは管理者権限をサービス提供会社が持っており、カスタマイズができない代わりに、メンテナンスなどの管理をサービス提供会社に任せられるサービスです。サーバーに関する専門知識はないが、ホームページの規模の関係上、専用サーバーを利用したいなどの事情がある企業に向いています。
VPS(仮想専用サーバー)
VPS(仮想専用サーバー)は、共有サーバーと専用サーバーの中間のようなサーバーです。共有サーバーの中に専用サーバーが複数用意されており、専用サーバーと同様の利用ができます。共有サーバーがシェアハウスだとすると、VPSは分譲マンションのようなイメージです。
基本的には専用サーバーと同じ特徴を持っており、カスタマイズ性が高く、他の利用者からの影響も受けにくいです。使い勝手は専用サーバーと同様ですが、実際は共有サーバーのため、専用サーバーよりも安い価格で利用できます。
一方で、設定や管理などは自社で行う必要があるため、専門知識が必要です。スペックが欲しい、カスタマイズもしたい、でも価格は抑えたいという中規模程度のホームページに向いています。
クラウドサーバー
クラウドサーバーとは、クラウド上にあるVPSです。通常のVPSは物理サーバーですが、クラウドサーバーはクラウド上に仮想サーバーを作ることで、コストを抑えています。
クラウドサーバーの大きなメリットは、容量やスペック、機能などを自由に変更できることです。たとえば、キャンペーンなどで一時的にアクセスが増えると予想される期間だけ容量を追加し、期間終了後に元に戻すとった臨機応変な対応ができます。
またクラウド上にあることから、アクセス権があるユーザーなら誰でもアクセスでき、場所を問いません。リモートワークや遠隔地にある部署とのやり取りなどにも利用できます。加えて、従量制課金が多く、無駄なコストを抑えられることもメリットと言えます。
ただ、従量制課金は費用が固定されないため、月々の支払いなどが管理しにくくなるでしょう。利用している容量やスペック、機能を把握し、常に最適化を行わないと余計なコストがかかる可能性もあります。
サーバーを選ぶポイント
ホームページに利用できるサーバーは、さまざまな企業で提供されています。レンタルサーバーの場合、サービス提供会社によってサービス内容が違うため、サービス内容や企業情報などを比較して、適切なところを選びましょう。ここではサーバーを選ぶポイントをご紹介します。
実績が豊富か
サーバーを選ぶ際は、実績が豊富なところを選びましょう。実績が豊富なサーバーは、長期にわたって選ばれてきたことの証明であり、安心して管理運用を任せられます。トラブルが起こりにくく、万一問題が起こっても的確でスムーズな対応をしてくれるでしょう。特に同業他社の実績が多い場合は、自社のビジネスに向いているサーバーと判断できます。
利用者の多いサーバーは口コミも多く投稿されているため、比較する際の参考になります。利用者のリアルな声を確認して選ぶと良いでしょう。基本的には大手のレンタルサーバーの利用がおすすめです。
また、サポート体制もチェックしておきましょう。サーバーは24時間365日、常に正常に稼働し続ける必要があり、トラブルや障害が起こった場合も迅速な対応が求められます。メールだけでなく、電話やライブチャットなどすぐに返信をもらえる体制が整っているサーバーが良いでしょう。
セキュリティ対策が充実しているか
セキュリティ対策も、サーバー選びにおいて重要な点です。セキュリティの甘いサーバーを利用すると、サイバー攻撃で情報を盗まれる可能性があります。
警察庁の「令和6年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」によると、脆弱性探索行為等の不審なアクセス件数は、1日・1IPアドレスあたり9825件あり、年々増加しています。(出典:令和6年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について|警察庁)セキュリティレベルの高いサーバーを選ぶことで、こうした脅威に対抗できます。
自社サーバーや専用サーバーの場合、基本的に外部からのアクセスがないため、安全性は高いです。ただアクセス権は適切に管理する必要があるため、アクセス制御や認証サービスの内容を確認しましょう。
また、暗号化はセキュリティ対策の基本です。SSL対応がサーバーに無料で付帯されていることを確認する必要があります。このほかDDos攻撃への対処、自動バックアップの機能などもあると安心です。
表示速度は適切か
サーバーを選ぶ際には、表示速度も確認しておきましょう。表示速度はGoogleが検索順位を評価する際の一因とされており、SEOに影響します。
ページの表示速度は、ユーザーがページを閲覧するか判断する重要なポイントです。実際Googleの調査によると、表示に3秒かかると32%のユーザーが離脱し、10秒かかると123%のユーザーが離脱するという結果が出ています。つまり表示速度が遅いほど、ユーザーにとって利便性が低く「ページを閲覧しない」と判断するのです。(出典:Find out how you stack up to new industry benchmarks for mobile page speed|Google)
Googleは検索順位を決める際「ユーザーにとって有益なページ」を優先します。ページの表示速度が遅いページはユーザーにとって有益ではないと判断され、SEOに悪影響を及ぼす可能性があります。サーバーの公式ホームページに速度の表記がある場合は、参考にしましょう。
機能が十分に備わっているか
機能もサーバー選びで重視したい点です。機能については、ホームページの目的に合った機能があるかを確認しましょう。データベースの容量や利用できるプログラムはもちろん、マルチドメインの対応やバックアップ機能など、充実した機能が備わっていると安心です。
たとえば大規模なホームページを運用するには、十分なデータベース容量が必要ですし、複数のブランドサイトを作成するつもりなら、複数のデータベースやマルチドメインに対応したサーバーが必要です。
自社が作成しようとしているホームページに必要な機能やスペックを確認し、目的に合った機能があるサーバーを選びましょう。
ホームページの制作で準備すること
サーバーは、ホームページ制作の土台です。ただ、サーバーだけではホームページは制作できません。サーバー以外にもドメインや画像などのデータ、CMSやHTMLの知識も必要です。ここでは、ホームページ制作でサーバー以外に必要なものをご紹介します。
ドメイン
ホームページ制作には「ドメイン」が必要です。ドメインはホームページの場所を示したもので「インターネット上の住所」とも呼ばれます。IPアドレスと紐づいており、ドメインが入ったURLを指定することでホームページが閲覧できます。
ドメインには共有ドメインと独自ドメインがありますが、企業は自由に文字列を指定できる独自ドメインを取得することが一般的です。また用途や国別のドメインもあり、日本の法人であることを示す「co.jp」や、商用サービスを示す「.com」などが広く利用されています。
ドメインを取得する場合は、ドメイン取得サービスを利用しましょう。取得後は基本的に1年ごとの更新が必要です。
コンテンツやデータ
ホームページ制作の主役となるのが、コンテンツやデータです。ホームページでユーザーに情報を提供するには、文章や画像、動画、音声などのコンテンツが必要です。
必要となるコンテンツは、ホームページの種類によって変わります。たとえばコーポレートサイトなら、会社概要や経営理念、サービス内容、実績などが必要になります。これらの文章に加え、企業イメージを伝えるためのロゴや、外観や社内の写真なども必要になるでしょう。自社がホームページで伝えたいことを伝えるために必要なコンテンツを考えて準備しましょう。
またサイトの完成イメージに近いホームページを参考として用意しておくと、イメージを共有しやすくなります。
CMSやHTMLの知識
ホームページ制作では、CMSやHTMLの知識も必要です。CMSとはホームページ上のコンテンツを一元管理するシステムで、HTMLはホームページを制作するための言語です。
通常、ホームページはHTMLを用いて作成します。HTMLで作成したテキストファイルをブラウザが解釈してユーザーが閲覧するページに反映することで、デザインされたホームページが表示される仕組みになっています。文字や画像を装飾し、よりデザイン性の高いページにするためにはCSSという言語も利用されます。
本来であれば、ホームページの制作にはHTMLやCSSなどの知識が必要です。しかしCMSではすでに用意されたテーマを利用するため、HTMLやCSSなどの知識がなくても簡単にホームページの構築・運用ができます。ただし、CMSの利用方法は覚える必要があります。
CMSの詳細や比較・選定ポイント、導入事例など詳しく知りたい方は下記記事よりご覧ください。
CMSとは?基礎知識、導入メリットや選定ポイント
ホームページの制作・運用ならCMSがおすすめ!
ホームページ構築では、CMSを導入するか検討が必要です。CMSを使わない場合は専門知識が求められ、更新のたびに制作会社への依頼が必要となり、時間やコストがかかるため、効率的に運用したい場合はCMSの導入がおすすめです。
株式会社シフトが自社開発したCMS「SITEMANAGE(サイトマネージ)」は、パッケージでありながら自由にカスタマイズできるのが特長です。
また、管理画面は直感的な操作性で「誰にでも簡単に」「使いやすい」仕様になっており、制作会社に依頼しなくても自社で簡単に運用が可能となっています。
サイトマネージについて詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
サイトマネージについて詳しく見る
サーバー選びにお悩みの方へ
ホームページの構築やリニューアルを考える際、「どのようなサーバーを選定すればよいのか」や「保守の運用管理に不安がある」など考える方も多いかと思います。
株式会社シフトでは、サーバーの選定や運用・管理の負担なく、CMSを導入することが可能です。弊社経由でサーバー構築をおこなっている協力会社へ依頼し、構築するシステムの要件に合わせて最適なサーバーをご提案いたします。
ホームページの構築やリニューアルにおけるCMSの導入やサーバーの選定にお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。
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まとめ
サーバーはホームページのデータを保管する場所として利用されます。ただ種類があるため、自社の目的やコストなどを照らし合わせたうえで、最適なものを選びましょう。サーバーを選ぶ際は、実績や機能、サービス内容を比較して、慎重に検討することが重要です。