CMSにおけるサーバーの役割や種類とは?最近人気のAWSについても解説

CMSとサーバー

はじめに

CMSは、新しくホームページを作成やリニューアルする際によく耳にする言葉でしょう。しかし、CMSが具体的にどのようなものなのか、いまいち理解できていない方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、CMSの概要や種類などについて解説します。記事の後半では、サーバーの種類やそれぞれのメリット・デメリットについても紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。

CMSとは?

CMSとは

CMS(Contents Management System)とは、Web専門知識がない人でも簡単にホームページの作成・更新・運営ができるシステムです。

CMSを導入していないWebサイトでは、文を変更する際にもHTMLやCSSなどのマークアップ言語を学ぶ必要があります。しかし、CMSでWebサイトを構築すれば、テキストデータの編集のみでWebサイトの更新が可能です。

CMSは主に3種類に分けられる

CMSは、主に「オープンソース」「パッケージ」「クラウド」の3種類に分けられます。

オープンソースとは、ネット上にソースコードが無償で公開されているCMSです。その中でも「WordPress」が圧倒的なシェアを誇っています。

パッケージは、CMSベンダーが商品として販売しているCMSです。最初にライセンスの購入が必要になりますが、カスタマイズの幅が広かったりサポートが充実していたりするメリットがあります。

クラウドタイプは、ネット環境があれば誰でも利用可能です。機材の用意や専門知識が不要で、導入の初期費用も抑えられます。

また、オープンソースとパッケージはサーバーを用意する必要がありますが、クラウドは自社でサーバーを用意する必要はありません。

CMSの仕組みや導入するメリット・デメリットの詳細などは以下の記事をご覧ください。

CMSとは?種類や仕組み、導入時のポイントをわかりやすく解説!

CMS構築におけるサーバーの役割と用途

CMSにおけるサーバーの役割と用途

オープンソースとパッケージCMSを構築する際、サーバーは必要不可欠です。ここでは、CMS構築におけるサーバーの役割と用途を詳しく解説します。

CMS構築における主なサーバーの用途

CMSを使ってWebサイトを構築するうえで、それぞれのサーバーがどのような役割を果たすのかについて詳しく見ていきましょう。

Webサーバー

Webサーバーは、Webサイトを表示するためのサーバーです。やり取りには、HTTP(HyperText Transfer Protocol)と呼ばれる通信規約(プロトコル)が用いられます。

「Apache(アパッチ)」や「NGINX(エンジンエックス)」が代表的なサーバーとして知られています。

データベースサーバー

データベースサーバーは、パスワードやアカウントIDなどのデータベースを扱っているサーバーです。システムが取り扱うデータを管理するほか、データの保存や更新、バックアップなどを行います。

アプリケーションサーバー

アプリケーションサーバーは、データベースのやり取りを行うサーバーです。JavaやRuby、PHPなどのプログラミング言語を使用します。

ファイルサーバー

ファイルサーバーは、ファイル管理ができるサーバーです。オンライン上でファイルの保管ができる「クラウド型」と、社内に設置したサーバーでデータを管理する「オンプレミス型」があります。

DNS サーバー

DNS(Domain Name System)サーバーは、ドメインを管理するサーバーです。

ドメイン名やIPアドレスを変換する仕組みを提供しており、Webサイトの閲覧やメールを使用する際には欠かせません。

メールサーバー

メールサーバーとは、メールの送受信にかかわるサーバーです。送信されたメールは、必ずメールサーバーを経由してから相手に届きます。

受信サーバーは「POP3」と「IMAP」、送信サーバーは「SMTP」のプロトコルが使用されます。

主なサーバーの種類

サーバーの種類

主なサーバーの種類は、オンプレミスサーバー(自社サーバー)とレンタルサーバーです。それぞれの特徴やメリット・デメリットなどを詳しく見ていきましょう。

オンプレミスサーバー(自社サーバー)

オンプレミスサーバーとは、自社でサーバーを作成して実際に運用していく手法・環境のことです。自社内ですべての運用や管理が完結します。

構築や運用にコストがかかるものの、自由度とセキュリティの高さがメリットです。情報漏洩のリスクが低く、大量の顧客データや機密情報を扱う企業などに向いています。

レンタルサーバー

レンタルサーバーとは、文字通り、すでに構築されているサーバーをレンタルして使用する方法・環境です。主に「共用サーバー」「専用サーバー」「VPS」「クラウドサーバー」の4種類に分類できます。

有料と無料のものがあり、有料のものでもオンプレミスサーバーに比べ、構築・運用にかかる費用を抑えられるのがメリットです。

一方で、カスタマイズ性が低く、機能の追加や修正が自由にできないデメリットもあります。そのため、システムを細かく調整したい場合や多数のシステムを抱えている場合には向いていません。

レンタルサーバーは、システム構築や運用に適した人員が不足している場合や、早急にサービスを立ち上げたい場合などに向いています。

共用サーバー

共用サーバーは、1台のサーバーを複数のユーザーと共有して利用するサービスです。サーバー構築や運用は、すべてレンタルサーバー業者に任せることができます。

機能に制限があるため、自由にカスタマイズしたい企業には向いていませんが、閲覧専用のWebサイトやあまり規模が大きくないサイトの構築・運用であれば、共用サーバーでも十分といえるでしょう。

専用サーバー

専門サーバーは、特定のユーザーが1台のサーバーを専有して利用できるサービスです。

設定やインストールなどは自社で行う必要がありますが、その分カスタマイズ性が高いメリットがあります。大規模なWebサイトの構築・運用に向いています。

VPS

VPSは、共用サーバーと専用サーバーが合わさったようなサービスです。基本的に、複数人で1台のサーバーを共有する点は共用サーバーと変わりませんが、VPSは1台のサーバーの中に契約者ごとの区切りが設けられています。

専用サーバーのようにサーバーの設定や運用は自社で行う必要がありますが、費用を抑えつつ自由な運用をしたい場合におすすめです。

クラウドサーバー

クラウドサーバーは、最も新しいタイプのレンタルサーバーです。サーバーがクラウド上に構築されており、必要に応じて利用するスペックを追加したり減らしたりすることができます。

運用コストも抑えられるため、イベントの受付システムやチケット販売サイト、ECサイトの運営などの用途に向いているでしょう。

代表的なクラウドサーバーは、「Amazon Web Services(AWS)」や「Microsoft Azure(Azure)」、「Google Cloud Platform(GCP)」です。なかでも、Amazonにより提供されるAWSはトップシェアを誇っており、弊社株式会社シフトが独自開発しているパッケージCMS「SITEMANAGE」でWebサイト構築する際にも、AWSを利用するケースが増加しています。

AWSのサーバーでCMS構築する案件が増加傾向

AWSのサーバーでCMS構築する案件が増加

シフトでは、近年AWSのサーバーを利用してサーバーを構築するケースが増えています。以下では、AWSでCMS構築をするメリットと注意点を紹介します。

AWSでCMS構築をする4つのメリット

AWSでCMS構築をするメリットは、以下の5つです。

1.始めやすい

AWSは、サーバーやHDDを準備する必要がありません。そのため、必要な環境をすぐに構築して利用を始められます。チュートリアルも充実しており、初心者でも簡単かつスピーディな構築・運用が可能です。

2.初期費用を抑えられる

AWSは、ハードウェアやソフトウェアを購入する必要がないため、初期費用を大幅に抑えられます。また、運用費用は使った分の費用が発生する従量課金制なことから、無駄なコストを削減することも可能です。

3.サービスが充実している

AWSは15年以上にわたって提供されており、長い歴史がある分、AzureやGCPと比べてサービスが充実しています。Web開発やアプリケーション開発、ブロックチェーンなどの幅広い用途に活用することが可能です。

また、24時間365日いつでも日本人によるサポートを受けられるため、導入後も安心して利用できます。

4.拡張性が高い

AWSは、CPUやメモリ・ストレージなどのスペックを簡単に拡張できます。突発的なアクセス増加が見込まれる時に、サーバーリソースを短期間増やし、アクセスが通常通りに戻った段階で元に戻すといったことが可能です。

5.セキュリティに強い

AWSは、以下の4点を戦略的なセキュリティ対策として掲げています。

  • 防止:リスクを未然に防止する対策
  • 検出:ロギングとモニタリングサービスを使用して、社内のセキュリティ状況を可視化
  • 対応:インシデントに遭遇した場合の復旧作業、インシデント発生の原因分析
  • 修復:高度な修復オートメーション機能

これにより、自社でゼロの状態からセキュリティ体制を構築するよりも、はるかに高いセキュリティの担保が可能です。

ただし注意点も…

AWSにはさまざまなメリットがある中で、専門知識が必要であることや従量課金で運用コストが見えにくいなどの注意点もあります。

展開されているサービスが豊富である反面、クラウドサービスの利用に慣れていない方は混乱する可能性があるでしょう。また、利用料が毎月変動するため、定額制のサービス比べると予算化がしにくい傾向にあります。

シフトでは、サイト制作を検討されている方に向けて、サーバーの提案(サーバー構成や予算など)も合わせて行なっていますので、お気軽にご相談ください。

お問い合わせフォーム

【用途別】AWSでCMSを構築する場合のサーバー構成事例

ここでは弊社株式会社シフトのWeb制作の中で、実際に採用されるケースが多いサーバー構築事例をお客様の用途にあわせてご紹介します。特に案件数が多くなってきているAWSに絞って紹介していきます。

事例紹介の前に

この後ご紹介するサーバー構成図の中に出てくるAWS上の登場人物(サービス)について簡単にご紹介します。

アイコン サービス名 用途
ALB ALB (Application Load Balancer) WEBアクセスで配下のサーバーに発生する負荷を分散するサービスとなります。
他、SSL証明書の導入(ACM)、設置でも利用を想定してます。
EC2 EC2 (Amazon Elastic Compute Cloud) 仮想サーバー構築サービスとなります。
 WEBサーバー:WEBアクセスしたユーザに情報を提供するサーバー
 CMSサーバー:WEBサーバーからの要求に応じてページを生成するサーバー
RDS Amazon RDS フルマネージド ※1 型のデータベースとなります。
システムで管理するデータを扱うサーバーとなります。
 DBサーバー:CMSサーバーからの要求に応じてデータを提供するサーバー
ACM ACM (AWS Certificate Manager) SSL証明書の導入、導入済みの証明証の管理するサービスとなります。
S3 Amazon S3 データを格納、管理できるストレージサービスとなります。
Backupファイル等を格納する目的に利用します。

※1 システムのアップデートやメンテナスのような管理コストをAWS側にになってもらえるサービスのこと

パターン1 とにかくコストを抑えたい方向けのサーバー構成

パターン1のサーバー構成

スペック表

種類 スペック CPU メモリ
WEB/CMS/STG m5.large 2vCPU 8
RDS t3.large 2vCPU 8

このサーバーの特長

特徴 DBサーバーだけ別サーバーとして分けた構成で、そこまでアクセスが多くないサイトでよく採用される構成です。
メリット 他の構成に比べて、サーバー台数が少ない分、コストが抑えられます。
個人情報を管理するサーバーを別サーバーとしてプライベートな領域においていることもメリットの一つです。
デメリット 冗長化をとっているわけではないので、瞬間的なアクセスの急増等で許容を超えた場合にサーバーダウンの恐れがあります。
こんな方におすすめ そこまでアクセス数が多くなく、かつ開発コストを抑えたい方におすすめです。

パターン2 安定した運用ができるサーバー構成

パターン2のサーバー構成

スペック表

種類 スペック CPU メモリ
WEB m5.large 2vCPU 8
CMS t3.medium 2vCPU 4
STG t3.small 1vCPU 2
RDS db.t3.medium 2vCPU 4

このサーバーの特長

特徴 弊社で一番よく使うのがこの構成です。
WEBサーバー/CMSサーバー/DBサーバーをすべて別々のサーバーで管理する構成です。
メリット CMSも別サーバーとしておているため、公開側/管理側のお互いの負荷が影響しない構成となっています。
パターン1に比べて安定した運用が期待できます。
デメリット パータン1に比べてサーバー台数が多く、多少コスト増となります。
こんな方におすすめ それなりにアクセスのあるポータルサイトを構築場合などにおすすめです。

パターン3 冗長化で可用性を高くするサーバー構成

パターン3のサーバー構成

スペック表

種類 スペック CPU メモリ
WEB m5.large 2vCPU 8
CMS t3.medium 2vCPU 4
STG t3.small 2vCPU 2
RDS t3.medium 2vCPU 4

このサーバーの特長

特徴 WEBサーバーを冗長化し、ロードバランサーで負荷分散を行う構成です。
メリット 冗長化構成をとっているため、他の2パターンに比べてサーバーダウンするリスクが低い構成です。
デメリット サーバー間の同期設定やアプリケーション(CMS:SITEMANAGE)もそちらを考慮した設計が必要になるため開発コストが増す可能性が高いです。
こんな方におすすめ ECサイト等のサーバーダウンを極力なくしたい場合や、多くのアクセスが見込まれるサイトにおすすめです。

ここで紹介したサーバー構成はあくまでも一例です。制作するサイトの種類や規模、お客様のご要望に合わせてサーバー構成はご提案させていただきます。AWS以外の実績も多数ありますので、リニューアルや新規サイト制作をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。

まとめ

CMSとは、Web専門知識がない人でも簡単にホームページの作成・更新・運営ができるシステムです。「オープンソース」と「パッケージ」、「クラウド」の3種類に分けられます。それぞれにメリット・デメリットがあるため、自社の運用方法や目的に合ったものを選びましょう。

ご相談をお待ちしております。お気軽にご相談ください。

お電話でのご相談窓口

03-5847-1281

(受付時間:平日 9:30-18:00)

この記事をシェア

X FaceBook hatena

おすすめの記事

RFP(提案依頼書)とは?資料の構成や書き方、注意点を解説!

CMSとCRM連携で変わるデータ活用法と具体的なWeb戦略を解説

CMSとCRM連携で変わるデータ活用法と具体的なWeb戦略を解説

最適なCMS選びから始めるECサイト構築のポイント

最適なCMS選びから始めるECサイト構築のポイント

CMSの種類はいくつある?知っておきたい特徴とその選び方とは

CMSの種類はいくつある?知っておきたい特徴とその選び方とは

この記事をシェア

X FaceBook hatena